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アイアンクラブの呼称と変遷

アイアンクラブの形成と進化

史実によれば、現代のアイアンのルーツとなるロフトのあるアイアンは、まずニブリック(現代の9番アイアンに相当)、次にマッシー(同5番アイアン)、そしてクリーク(同1番アイアン)の順に誕生した。アイアンはこれら主要な3本を中心に発達し、徐々にそれぞれの距離の間隔を補うように、中間のクラブが配列されていった。

 スコットランドで生まれた伝統的な呼称(オールドネーム)を、現代の番手と対応させながら並べると以下のようになる。

 

  • 1番           クリーク
  • 2番           ミッド・アイアン
  • 3番           ミッド・マッシー
  • 4番           マッシー・アイアン
  • 5番           マッシー
  • 6番           スペード・マッシー
  • 7番           マッシー・ニブリック
  • 8番           ピッチング・ニブリック
  • 9番           ニブリック

 

 ロフト角は、当初ニブリックの48度、マッシーの32度を基準に「4度刻み」で発展した。しかし、米国がゴルフクラブの主生産国となった1930年代中頃から、1度ずつロフトが立てられるようになり、3番アイアンが24度から23度へ、4番アイアンが28度から27度へと「ストロングロフト化」されていった。 

 

Robert T Jones Jr. / Spalding / Cushion Neck Kro-Flite Irons(1930’s-40’s)

Head Stamp: Pat'd 1,551,563 (JGAゴルフミュージアム所蔵)

ロバート・T・ジョーンズ・ジュニア作/スポルディング社製/クッションネック・クロフライト・アイアン1930年代から40年代にかけて製造されたモデル

 

ゴルフクラブの「ナンバー化」という転換期

 クラブメーカーによる番号付きアイアンセットの販売が本格化したのは、1920年代半ばのことである。1926年にジョージ・ニコル社(英)から『Indicator』シリーズ、翌1927年にスポルディング社(米)から『Kro-Flite』シリーズが登場した(註1)。これらがカタログ通信販売を通じて米国全土で爆発的にヒットしたことで、フルセットの「ナンバー付きアイアン」が一般に普及することとなった。

 この時期、名称についても過渡期ならではの動きが見られた。 例えば、それまでクリークと呼ばれていた1番アイアンが「ドライビング・アイアン」へと呼び名を変えるなど、アイアンのオールドネーム(呼称)の扱いは、各メーカーによって多少の差異が存在していた。

 1930年頃までにはナンバー化されたセットが市場の主流となり、ゴルフ場の現場にも劇的な変化をもたらした。当時の経験の浅い若いキャディたちは、もはや「マッシー」や「ニブリック」といったオールドネームでの呼びかけには応答しなくなったという、時代の移り変わりを象徴するエピソードも残されている。

 

文/井手口香

 

1)Ralph S.LivingstomⅢ『Thomas StewartJr.Golf Cleek and Iron Maker of St.Andrews,Scotland』2010年、p.123

 

参考文献

佐藤勲『ゴルフクラブの知と技』ユニバーサルゴルフ社、1992年

佐藤勲『私のゴルフ図書館』officeアイ・サトウ、1999年

Ralph S.LivingstomⅢ『Thomas StewartJr.Golf Cleek and Iron Maker of St.Andrews,Scotland』

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