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AIG全英女子オープン 日本選手の記録

1976(昭和51)年、欧州女子ツアーとして始まり
1984(昭和59)年には岡本綾子が優勝

 大会が始まったのは1976(昭和51)年。当初は欧州女子ツアー単独開催で、後に米女子ツアーとの共催になった。1984(昭和59)年には岡本綾子が2位に11打差をつけて優勝を飾っている。
 メジャーに昇格したのは2001(平成13)年のこと。前年までメジャーだったデュ・モーリエクラシックがその歴史に幕を閉じ、代わってメジャーになった。
 大会名は「ウィータビックス全英女子オープン」「リコー全英女子オープン」というように冠スポンサーの移り変わりによって少しずつ変化してきた。2019年に「AIG全英女子オープン(英語表記はAIG Women’s British Open)」となり、翌2020年からは「British」が取れて「AIG女子オープン(英語表記はAIG Women’s Open)」になっている。日本では現在も「全英」とつけることが一般的である。

 

2008(平成20)年、メジャー昇格後初めて、
日本選手が優勝を争う

 メジャー昇格後、日本選手が初めて優勝争いに加わったのは2008(平成20)年だった。会場はロンドン近郊のサニングデールゴルフクラブ。第1ラウンドで上田桃子が9、10番で連続イーグルを奪うなど6アンダーパーの66をマークし、不動裕理らとともに1打差2位につける。第2ラウンドを68とした不動は通算10アンダーパーで申ジエ(韓国)と並ぶ首位に躍進。不動は第3ラウンド69で通算13アンダーパー。単独首位に立った。1打差2位に申、2打差3位で米女子ツアー参戦3年目の宮里藍が続いた。最終ラウンド、不動は8番まで申と首位に並んでいたが9番をボギーとし、このホールでバーディを奪った申に差をつけられる。申がその後バーディを重ねて混戦から抜け出して優勝し、不動は4打差3位。宮里は少しずつスコアを伸ばして2位に浮上していたが18番ダブルボギーで5位に後退した。69で回った上田桃子が7位に入り、メジャーで初めてトップ10に日本選手3人が名を連ねた大会になった。
 翌2009(平成21)年、宮里が再び優勝争いに加わる。首位のカトリオナ・マシュー(英国)から4打差の3位で迎えた最終ラウンド、中盤までに1つスコアを伸ばし、一時はマシューと並んだ。しかし、12番から3連続バーディを奪ったマシューに突き放され、宮里自身は17番で痛恨のダブルボギー。3位で大会を終えた。
 セントアンドリュースオールドコースで開催された2013(平成25)年は佐伯三貴が第2ラウンドで魅せた。4、7番のパー4でイーグルを奪うなど66をマーク。1打差2位に浮上した。大会3日目は強風のため昼過ぎに第3ラウンドが中断。その後、翌日への順延が決まった。最終日は第3ラウンド残りと最終ラウンドを組み替えなしで実施。佐伯は最終組で36ホールをプレーし、74、77と苦戦。比嘉真美子とともに7位という結果になった。
 2018(平成30)年には比嘉が第2ラウンド終了時で1打差2位と好位置につけ、最終的には4位に入る。

 

樋口久子以来、42年ぶりの快挙を成し遂げた
20歳の渋野日向子(写真は帰国後の記者会見)

 

2019(令和1)年、渋野日向子が
42年ぶりの日本選手メジャー制覇

 そして2019(令和1)年、長く止まっていた時計を動かす歴史的な出来事が起こる。主役は、メジャーはおろか海外トーナメント自体が初めてだった渋野日向子だ。
 前年のプロテストで合格したばかりの渋野はこの年、渡英前に国内で2勝を挙げてブレーク。屈託のない笑顔も相まって、人気も急上昇中だった。
 会場はウォーバンゴルフクラブ。コースは違うが、この35年前に岡本が圧勝を飾った舞台と同じクラブである(1984年はデュークスコース、2019年はマルケスコース)。8月1日の第1ラウンド、渋野は7バーディ・1ボギーの66を叩き出す。66はメジャー初ラウンドにおける日本選手歴代最少ストローク。いきなり記録をつくって首位のアシュリー・ブハイ(南アフリカ)から1打差の2位で発進した。第2ラウンドは69。ブハイとの差は3打に広がったが2位の座は守った。
 第3ラウンド、アウトは1バーディ・2ボギーの37と苦しんだ渋野だったがインでは6バーディを奪って30をマーク。通算14アンダーパーまで伸ばし、ブハイに2打差をつける首位に躍り出た。最終ラウンドは3番で4パットのダブルボギーを叩いてしまうなど、一時は首位から陥落していた。それでも、253ヤードに設定された12番パー4で果敢に池越えの1オンを狙って成功。バーディを奪って逆襲に転じた。13、15番でもバーディを決め、18番を迎えた時は通算17アンダーパー。すでにホールアウトしていたリゼット・サラス(米国)と首位に並んでいた。18番パー4はピン手前5メートルに2オン。このバーディパットを強めに捻じ込んで笑顔が弾けた。
 1977(昭和52)年の全米女子プロゴルフ選手権で日本選手初のメジャー制覇を成し遂げた樋口久子以来、実に42年ぶりの快挙を20歳の渋野がやってのけた。この間、日本勢のメジャーにおける2位は9回を数える。惜敗続きに終止符を打ち、この後に迎える日本選手大躍進のきっかけとなる大きな意味のある1勝だった。
 2022(令和4)年、渋野は再び優勝に迫る。第3ラウンドを終えて通算9アンダーパーは首位ブハイから5打差ならが2位。3年前と同じペアリングで最終ラウンド最終組をプレーすることになった。最終ラウンド、渋野は出入りの激しい内容ながら徐々に首位との差を詰め、17番のバーディで1打差に。だが、とらえ切れなかった。ブハイとチョン・インジ(韓国)のプレーオフには届かずの3位。目には悔し涙が光っていた。
 

この大会を制した2人目の日本選手となった山下美夢有(2024年撮影)

 

日本選手が躍進した2025(令和7)年、
山下美夢有がメジャー初優勝

 2025(令和7)年は第1ラウンドから日本勢が上位にひしめいた。会場はウェールズのリンクス、ロイヤルポースコールゴルフクラブ。5アンダーパーの67で首位に並んだのは岡山絵里と米女子ツアールーキーの竹田麗央。1打差の3位には同じく米女子ツアールーキーの山下美夢有がつけ、上位3人を独占。さらに、4位で並ぶ10人のうち3人(西郷真央、岩井千怜、桑木志帆)が日本選手だった。
 第2ラウンドで65をマークした山下が通算11アンダーパーで首位に立ち、竹田が3打差2位で追う。第3ラウンド、この日(8月2日)24歳の誕生日を迎えた山下は強風に苦戦して74。通算9アンダーパーにスコアを落としたが1打差で単独首位は維持する。同組で回った竹田も74で65を叩き出した勝みなみらと並ぶ3打差4位に下がった。
 最終ラウンド、山下はアウトを3バーディ・ボギーなしで回り、首位を守る。インではバーディなしの1ボギーだったが通算11アンダーパーで追いあげてきた勝とチャーリー・ハル(英国)を2打抑えてメジャー初優勝。渋野に続く日本選手大会2勝目となった。山下のほか2位に勝、4位には竹田とメジャーで初めてトップ5に3人の日本選手が名を連ね、日本選手の躍進を象徴する大会になった。
 2025年までで日本選手はのべ214人が出場。優勝2回、2位1回、3位3回、10位以内23回の成績を残している。

 

文/宮井善一

 

 

AIG全英女子オープンゴルフ選手権日本選手各種記録

項目 記録 選手名等
最多出場回数 14回 宮里藍
最多第3ラウンド進出回数 8回 宮里藍
最多10位以内回数 4回 宮里藍
最高成績 優勝 渋野日向子(2019年)
優勝 山下美夢有(2025年)
18ホール最少ストローク 65(-7) 渋野日向子(2022年1R)
65(-7) 山下美夢有(2025年2R)
65(-7) 勝みなみ(2025年3R)
72ホール最少ストローク 270(-18) 渋野日向子(2019年)
72ホール最多アンダーパー -18(270) 渋野日向子(2019年)
最年長出場 41歳320日 斉藤裕子(2009年)
最年少出場 17歳341日 @梶谷翼(2021年)
大会別最多出場人数 19人 2024年
大会別最多第3ラウンド進出人数 10人 2023年
大会別最多10位以内人数 3人 2008、2025年

※メジャーに昇格した2001年以降のデータ

@はアマチュア


参考文献
日本ゴルフ殿堂ウェブサイト『海外メジャー日本人成績』
LPGA Tour Online Media Center
『スポーツニッポン』2008年8月3、4日付、2009年8月2、3日付、2019年8月2~5日付、2022年8月8、9日付

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