HISTORY ゴルフ用具
クリークマーク(cleek marks)
アイアンヘッドに刻まれた、名称の証
クリークマークとは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、スコットランドを中心としたクリークメーカー(鉄製クラブ職人)が、自ら鍛え上げたアイアンヘッドの裏面に打ち込んだ紋章や図案化された刻印のことである。現代のブランドロゴの原形にあたるが、当時は単なる意匠ではなく、製作者の技術と品質を保証する、日本刀の「銘」に近い重みを持つものであった。
当時のゴルファーは、クリークマークを見るだけでそのクラブの出自を瞬時に理解することができた。以下、名匠とその意匠の例を挙げる。
・パイプ(Pipe): セント・アンドリュースの名匠、トム・スチュワート(Tom Stewart)の証
・錨(Anchor): カーヌスティの職人、ウィリアム・ゴーリー(William Gorrie)の証
・手の形(Hand): レヴンの職人ジョージ・ニコル(George Nicoll)の証

セント・アンドリュースの名匠、トム・スチュワート(Tom Stewart)のクリークマークである「パイプ」が刻印されたアイアン
これらの刻印は、アンティークアイアンを鑑定する上で極めて重要な役割を果たす。その形状、フォント、打ち込まれた位置などは年代ごとに微細な変遷を遂げており、これらを分析することは、アイアンの製造時期を精密に特定するための「戸籍」ともいえる。
また、刻印の深さや打刻の角度、地金の質感との調和を検証することで、製作当時の本物か、あるいは後世に作られた模倣品(贋作)であるかを判別するためにも不可欠なものである。
文/井手口香
参考文献
佐藤勲『私のゴルフ図書館』officeアイ・サトウ、1999年
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